住宅宿泊事業法(いわゆる新法民泊)の運営を辞める際、避けて通れないのが行政への「廃止届出」です。2016年からこの業界で、立ち上げから撤退まで数多くの現場を這いずり回ってきた経験から言わせてもらえば、「ただ紙を出せば終わり」と考えているオーナーほど、後から思わぬトラブルや金銭的損失に見舞われるリスクがあります。
ぶっちゃけトークをすれば、廃止届を出すタイミングを一日間違えるだけで、余計な税金が発生したり、数ヶ月分の家賃をドブに捨てたりすることになります。また、何も考えずに廃止するのと、事業譲渡を見据えて戦略的に動くのとでは、手元に残るキャッシュに数百万単位の差が出るという視点も必要です。ここでは、現場の伴走者として、事務手続きの裏側に潜む実務的な注意点を徹底的に解説します。
住宅宿泊事業法における廃止届出の法的ルール
まずは基本ですが、住宅宿泊事業を廃止したときは、その日から30日以内に都道府県知事(保健所設置市等の場合はその長)に届け出る必要があります(住宅宿泊事業法第13条)。これは義務であり、怠れば当然ながら行政指導や罰則の対象となるリスクがあります。
| 項目 | 内容 | 現場での留意点 |
|---|---|---|
| 届出期限 | 廃止した日から30日以内 | 遅れると理由書を求められたり、指導対象になる可能性がある。 |
| 届出方法 | 民泊制度運営システム経由または書面 | 現在はシステム利用が推奨。ログインIDやパスワードを忘れていると詰む。 |
| 必要書類 | 廃止届出書、その他自治体指定書類 | 自治体によっては独自の添付書類(最終の宿泊実績報告等)が必要な場合がある。 |
現場のリアルな悩みとして多いのが、「いつを廃止日にすべきか」という点です。賃貸借契約の終了日、最後のゲストがチェックアウトした日、あるいは家具を全て運び出した日……。この設定を誤ると、後述する実績報告や税務処理との整合性が取れなくなることがあります。
廃止届出の前に必ず完了させるべき「2つの義務」
廃止届を出す前に、絶対に忘れてはならない実務が2つあります。これを忘れると、廃止届が受理されなかったり、後日保健所から執拗な電話がかかってきたりすることになります。
- 宿泊実績報告の完了:住宅宿泊事業者は、2ヶ月に1回、偶数月の15日までに実績報告を行う義務があります。廃止する場合、前回の報告から廃止日までの期間の実績を、廃止届とセット(あるいは直前)で行う必要があります。
- 標識(看板)の撤去:玄関や門扉に掲示していた「住宅宿泊事業者」の標識を速やかに取り外さなければなりません。廃止届を出した後に掲示し続けていると、無許可営業や虚偽掲示を疑われるリスクがあるという視点も必要です。
「廃止」か「譲渡」か?キャッシュを最大化する出口戦略
ここが今回の本質的なぶっちゃけトークです。もしあなたが「赤字だから」「疲れたから」という理由で廃止を考えているなら、安易に廃止届を書くのはちょっと待ってください。
住宅宿泊事業法の届出は、廃止してしまえば文字通り「ゼロ」になります。しかし、その物件にはまだ価値が残っているはずです。
- 消防設備:一度設置した自動火災報知設備や誘導灯は、次の人が民泊をやるならそのまま使えます。
- 家具・備品:産廃として捨てれば数十万のコストですが、譲渡すれば資産になります。
- 実績(レビュー):Airbnbなどのアカウント評価は、廃止届を出した瞬間にその場所との紐付けを失い、価値が激減します。
廃止届を出す前に「事業譲渡」という選択肢を検討してみてください。誰かに営業権を譲渡するなら、廃止届を出すタイミングと新オーナーが届出を出すタイミングを秒単位で調整する必要があります。これをミスすると「営業停止期間」が発生し、予約が全て飛ぶという大惨事になりかねません。
家主や管理組合との「後腐れ」を残さない撤退実務
住宅宿泊事業法は、マンションの一室で行っているケースも多いでしょう。廃止届を出すことは行政への報告に過ぎませんが、現場で最も揉めるのは「近隣住民」や「管理組合」との関係です。
- 近隣への挨拶:トラブルがあった物件ほど、最後は丁寧に挨拶をして辞めるべきです。放置して辞めると、後で同じ建物で民泊を始めようとする次のオーナーが猛烈な反対を受けることになり、業界全体の首を絞めることになります。
- 原状回復の範囲:民泊特有の摩耗(スーツケースによる床の傷、壁紙の剥がれ)を「通常の使用」とみなすか「特別の損耗」とするか。廃止届を出すタイミングで家主と現場立会いをし、その場で合意形成をしないと、後から高額な修繕費を請求されるリスクがあります。
現場の一次情報として、廃止を決めた瞬間にゴミ出しがルーズになるオーナーがいますが、これは絶対に避けるべきです。最後の最後で不法投棄などを指摘されると、行政から「廃止後の適正な処理がなされていない」とマークされる可能性があります。
税務上の処理:廃業届と固定資産税の罠
住宅宿泊事業を辞めるなら、保健所への廃止届だけでなく、税務署への「個人事業の廃業届」も必要になるケースがあります。また、民泊として利用していた期間と住居として利用していた期間で、固定資産税の住宅用地特例が外れていた場合、その復帰手続きが必要になることもあります。
ぶっちゃけ、ここを忘れていると、辞めた翌年に「なぜか税金が高い」という事態に陥ります。廃止届の写しは、税務署への説明資料としても重要になるため、必ず控えを保管しておきましょう。また、事業譲渡で売却益が出た場合は「譲渡所得」としての申告が必要になるという視点も必要です。
最後に
住宅宿泊事業法の廃止届出は、あなたの民泊経営の「幕引き」を飾る最後の大切な仕事です。雑な手続きで終わらせて、後味の悪い思いをしたり、余計な出費を強いられたりするのは非常にもったいないことです。これまでゲストのために尽くしてきた時間を、最高の形で締めくくりましょう。
もし「もう辞めよう」と思っているけれど、廃止届を出す前に「自分の物件を誰かが買ってくれないか」「この設備を無駄にしたくない」と少しでも思うなら、一度立ち止まってプロに相談してみてください。
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